日本の場合、開発の技術者が気軽に現地に出ていきます。
ところがアメリカやヨーロッパの場合、市場におるのはセールスエンジニアであるとか、現場を見る専門のエンジニア、そういう人たちです。
日本の場合には開発している人がそういう人たちと一緒に現場へ出ていくというので、ここが日本のほうが商品に対する感度が高い、あるいは潜在的な要求を感じ取れるような活動をしておるということです。
改良のスピード。
これは世界共通の話になります。
最初はいろいろな改良の要求がでてきます。
もたもたしているうちに再度出てくる、二度目以後の要求は苦情になるんです。
一度目でこちらの努力・誠意を認めてもらって改良していくと、かえって印象は良くなるわけですけれども、お客さんが待ちかねて二回目の要求が出てきたということになると、これはもう苦情です。
お客さんの評判が悪くなってきます。
したがって、どんなことがマーケットであるのか、この潜在的なものを感じ取って改良につなげていかねばならんというるいは思いもよらない話が出てくるという場合は別です。
私も経験したんですが、第一次オイルショックのときに、現地で「日本はえらいことになっとる。
お前は帰らんほうがよいよ」というような話をされて、何を言うとるのかなあと。
アメリカの田舎におると日本の情報が入ってきません。
そんな時に何を言ってるのかなあという感じで、聞いていくと「日本はえらいことになっているんだ」というような感じを受けるわけですけれども、そういう場合は別にして、目的に対してやっていく問では、そうコミュニケーションの問題は感じなかったと思います。
三番目に「欧米タイヤメーカーとの技術交流」ということに触れておきます。
欧米のタイヤメーヵーとの交流は一九八二年からスタートしています。
日本・アメリカ・ドイツの技術の共有化を図ろうということです。
欧米タイヤメーカーとの技術交流日本特有のことかと思います。
私どもがやってたころも例えばアメリカの場合ですと、シアトルとかユージーンとか、ああいう北から、オクラホマシティからデンバーに行き次は……、というようなふうにして移動しながら拠点を作って、年一回ぐらい品物を見て廻ってました。
あるいはシカゴとその周辺とか、アトランタとその周辺とか、そんなところへ出向いて、自社の品質が時系列的に見てどうか、あるいは他社と比べてどうかというようなことを調査しておりました。
現地の販売店もよく協力してくれました。
言葉のハンディキャップ。
これについては共通の目的と商品・技術を間において同じ土俵でやっていくわけです。
又目的が商品とか技術であるということで、言葉のハンディキャップを埋めてくれます。
この範囲ではコミュニケーションにそれほど問題を感じませんでした。
この販売店というのは、例えばスウェーデンへ行っても、販売店の人たちは英語でしゃべってくれます。
お客さんとの間も取り持ってくれます。
そんなことで言葉のハンディキャップもあまり感じずに、活動をしていました。
ただ現地に住むとか、技術の共有化をどのように行なったかじゃあどんなふうに技術の共有化を進めたのかということなんですが、最初に幹部による基本ミーティング・共有化の方向づけをした。
それから技術者の相互駐在をしたということ。
それから研究所・工場を相互に見学したということ。
商品技術ミーティングあるいは製造技術ミーティングを割合ひんぱんに始めたということ。
それから時間がたっと、特定テーマを設定してそれの研究を互いにやろうと。
こんな流れで進んでおります。
当初、研究所・工場を相互見学したときの印象なんですが、アメリカの会社とは以前から交流がありましたので、あまり目新しい感じはしませんけれども、技術部門の試験器を含めて、開発・改善の斬新さというリカのみに販売していました。
この技術者を合計したら約七百人になります。
各社ともこの七百人を有効に利用したい。
その考えは一緒です。
七百人をどう利用していこうかというために、技術の共有化という活動を始めたということです。
先ほど話したように日本のタイヤメーカーは当初欧米のタイヤメーカーから技術導入をしていました。
これは一九六○年代までです。
ラジアルタイヤの、開発がスタートしたのは六四年ですが、その頃には導入できるラジアルタイヤの技術が無いということで自主開発の時代に入っていきました。
それからラジアルタイヤの用途が拡大してくる、各地に普及してくるというのは一九七○年代です。
そしてラジアルタイヤの基本技術が成熟してきた中で、さらに技術のレベルアップを図りたい、市場対応力を高めたいという競争が、八○年代に始まっております。
基礎技術の研究、あるいは商品開発の効率化、そのため開発戦力を拡充したいということを目的にして八二年にドイツのC社、アメリカのG社、当社と、三社で技術をオープンにする技術の共有化をスタートしました。
当時当社の技術者は約百五十人ぐらい、ドイツのC社が約三百人ぐらい、アメリカのG社が約二百五十人ぐらいです。
又当社が日本・アメリカ・中近東の市場にタイヤを売っていました。
C社はヨ−ロッパ・中近東の一部を対象にしていました。
G社はいろんなところから来ていると思います。
今も、だいぶ変わったけども残っております。
車でもベンツの車と日本の車とを比べたら分かると思います。
なかなかめげないような車と、へこみ易い車の違いだと思いますけれども、こんな違いが、基本的にあります。
技術情報の、あるいは技術研究開発関係の共有化をどう進めたかということなんですが、技術の関係というのはまず基礎研究をする。
そして商品開発をする、これによって設計品質、お客さんに渡ったときの商品の品質が決まります。
設備・工法を開発する、これによって製造の品質あるいは効率が決まります。
そして商品が市場に出て、品質保証あるいは品質信頼性を保証しながらお客さんの満足度を得る。
そして使ってもらった市場情報が返ってきて、新たな研究テーマをまた決めていく。
こういう流れです。
その中で新しいタイヤの規格をどうしようかという話も出てきます。
こんな流れの中で技術のミーティングをやっていったわけです。
例えばこの商品開発のミーティングをやります。
あるいは設備開発のミーティングをやります。
市場情報の交流をします。
この三つぐらいが共有化のものはやっぱり不足していて、あまり新しさは感じませんでした。
生産工場は従来の設備・工法から抜け切れておらないと。
そんな感じです。
一方ドイツの会社なんですが、これは初めて見たところです。
で、技術部門の試験器が非常に多い。
実験設備もまた非常に多くて、大型であるということ。
技術の評価をするための設備・装備が非常に多かった。
そんな感じです。
このとき技術部門のトップが言ってましたけども「みんながほしいほしいと言うので作ったら、こんなに多くなった。
ちょっと作りすぎたなあ」と、そんなことを言ってました。
実験で確認、研究をするということ、その内容の豊富さ、あるいはより大型の設備、こんなものが多いなあと感じました。
それから生産工場。
これは非常に重厚長大やなあと。
古い工場になるとそれこそ重厚長大です。
新しい工場には特徴のある斬新な設備がありましたけれども、それでもやっぱり日本から見たら大型であり、重厚であるなあと、そんな感じでした。
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